ウルトラマンブレーザー 第23話「ヴィジター99」感想

先日書いたグリユニ超全集記事(ろくに推敲をせずに投げてしまったのでちょっと手直ししたい部分もある)の後、なんとこんな時期に突然足の指の骨にヒビを入れるというドジをやらかしている管理人ですいかがお過ごしでしょうか。わかるかわからないかぐらいの折れなので大袈裟に騒ぐほどではないんですが、それでも普通に日常生活に支障をきたすぐらい痛いんだな……と初体験の身の上で実感しています。とりあえず普段に比べれば安静にしている。あとこれがあるんで秋葉原グリユニポップアップショップとコラボカフェは多分年明けまで行けないですね……コラボカフェメニューはともかく、カニの領収書は基本諦める方向でいた方がいいかも……。
さてグリユニ超全集冒頭で色々書いたらブレーザー感想の枕がなくなるかもと思っていたら

2月上映の劇場版の続報解禁があり。今回もデッカー最終章と同等以上の上映劇場数で初日に見れそうで安心しています(あとほぼ同時にSKaRD休憩室のお試し配信も開始されましたが、まだ見れていないためおいおい……)

そんなブレーザー、最終章突入編と言える今回、正直言うとブレーザー本編を見続けてきて1番テンション上がった回だったと言っていいかもしれません。トリガーとティガ、デッカーとダイナのような形ではガイアを意識したもの・ニュージェネガイアとしての作品ではないと明言されながらも、「ガイアの持っていた要素に関して引き継いだものはある」ということを各所インタビューで田口監督が言っていましたが、この土壇場で「物語のごく初期からそれは提示されていたし、推測も可能であった」ことを突きつけてくるこの体験、素晴らしかったです。それでは管理人のコンディション的に、内容に比して簡易になるかもしれませんが、できるだけ。

序盤デルタンダル戦。映像としては短いながら見せ場と戦力限界(デルタンダルはギリギリMod.3で追えたB個体よりもさらに地球圏外に出られる)が描かれていて満足度が高いんですが、2回目見るとかなしみが勝る部分もあるな……。
この戦闘中に平成ガメラ第1作・大怪獣空中決戦的なカット(逃げるギャオスを追うガメラの画)が挟まるのは後半のタガヌラーも合わせて演出意図が明確ですね。もしかして撃墜されるデルタンダルの方はガメラ3でのガメライメージか……?
しかしデルタンダルもタガヌラーもどちらかといえばガメラ寄りの存在であることになったので、ある意味真逆の存在の立場に重ねて演出されてるのは性格が悪くもあるな……(金子・樋口ガメラのギャオスとレギオンはある意味で「バランスの破壊者」や「侵略性宇宙生物」なのでウェイブシリーズの方に近い)

アースガロンの大気圏外戦闘能力の確保の話、今回のラストを考えると最終決戦にめちゃめちゃ影響出そうですけど、はて。
気絶してぶっ倒れるゲント、次回予告時点だと肉体の消耗を押して戦い詰になったことでゲントが倒れる(有り体に言えばセブン最終2話)展開かと思いきや、アバンでブレーザーに即刻殴られてシンプルに気絶させられただけ……だけってのもアレですが……とにかくそういう状況だったのがゲントには災難だけど笑うと同時にちょっと安心してしまった。
そういえばブレーザー、12話というかゲバルガ戦以降、今回まではゲントの肉体を同意なく動かすことをしてないんですね(今回に関してもブレーザーストーンを持っていた手の動きに限っている)地球人はそういう行動を取ると困惑する・場合によっては協力体制を築かなくなる、ということを認識したということなんだろうか。
テルアキ副隊長が地味にヤスノブのことを「ヤス」と呼んでいることでゲントの心配どころではなくなった視聴者が一定数いたそうです(謎の伝聞調) 呼吸と脈が正常であると確認したことで3人の呼びかけに少々の余裕が出るの、もっと重大な意識喪失状況があり得る軍事組織っぽさを少し感じる。
てか医務室から帰ってきてゲントが言う「軽い立ちくらみ」、意識喪失してる時点で立ちくらみとしては軽くはないだろ!!「ただの立ちくらみ」なら重度とはいえ間違ってない・嘘にならないのにこう言ってしまっているので、折に触れて出ている「ゲントは嘘にならない範囲の詭弁は得意なのに『嘘そのもの』が極端に下手」という描写の究極形なんですかね……。

OPのハルノ参謀長、クレジットがあることを展開の中ですっかり忘れていてラストで普通にびっくりしてしまった。

みっちー(追川光宙)くん、読みが完全に某ミッチーと同じな名前はもとよりこの土壇場で急に出てきていい濃さと活躍重要度のキャラではないよ!!(褒めてる)
特別総集編1や13話で言及されてた「アマチュア天文家」の中でも視点が鋭い人物だった、その伝手でヤスノブ経由でエミに情報が行った……って感じでしょうか。民間人をMOPに乗せちゃうのって多分めちゃめちゃヤバい規律違反だと思うんですが(緊急時に乗せるぐらいはあり得るかもしれませんが、案件はともかく状況としては平時だしなあ)これがないと今後の展開如何によっては地球が滅んでいた可能性まで考えられうるというのがなんとも……。
サードウェイブ疑惑物体(名前もう出てるんですが劇中で言及されるまではこういう表現で行きたい)の存在に気づく要因が「観測できる宇宙の歪み」なのは、ガイアでのゾーリムの発生予兆と見かけ上は同現象なんですが、ゾーリムの場合は空間そのものの歪み(異様に巨大なワームホール)だった一方、今回の場合はある種の光学迷彩?的なものとして見せられている違いがちょっと嬉しい。まだ劇中では言及されてませんが、これ「サードウェイブそのもの/あるいはそれを投下した存在は『光学迷彩』=『観測の撹乱』という明確な敵対意志をもって地球に接近している」という意味でもあるわけで……。
ミッチー27を生暖かい笑顔で聞いてるエミ、でも後で名前として扱うのでちゃんと聞いてはいる(実際本気でそう動いてくれるかはさておき)というあたりが「人間の組織に入り込んで諜報を行っていた」という彼女らしい見せ方だ。
現時点では「司令部に報告したけど意味がなかった」という扱いですけど、現在の状況を仮にも一度上には上げていた、というのが結構重要なファクターになってくれないかなあと期待しています。今回終盤でのSKaRDの行動は「通常の判断で考えれば」明らかな命令違反であり防衛活動の妨害行為ということになってしまいますが、この時点で一度報告を上げていた=認可されている独自の調査活動結果、未知の宇宙怪獣の存在を予測しており、それがタガヌラーの行動予測に繋がったと突きつけられれば一定の正当性が担保されるので(組織の上の人はそんなの認めないんじゃないの的な視点は一旦置いておきたい)

タガヌラー複数個体現出。これまでの怪獣も全てそうといえばそうなんですが、この時点ではシンプルに怪獣は出自に関係なく脅威であるしSKaRDはそれに対応するのが使命である、という見せ方、源川司令官の判断そのものも(やや過剰である、という視点は劇中で言及されている通りとして)「市街地のごく隣接施設において超々巨大爆発を起こしうる巨大生物が現出」したという視点で考えると間違っていない、誰も「あからさまに間違った行動」は一つも取っていないんですよね。にもかかわらず、防衛軍上層部のみならず主役チームであるSKaRDの行動も、もし作戦行動が完遂されていた場合、人間の活動や地球環境を維持するためだと考えて行った行為そのものが結果的にそれら全てを悪化させる方向に向かっていた。ある意味非常に強烈にウルトラ的視点になってる。
加えてこれ、前話で「ソンポヒーロー」をやっているのがかなり効く部分で、ギガスやレッドキングといった、ものすごく脅威的な(例えば市街地で突然爆発するとか毒ガスを撒くとか)能力を持っていない、スタンダードな怪獣が現れただけでも、その足下では明日咲くかもしれなかった花といった小さなものから、町そのものという大きなものまで被害が生じるということをテツオさんの話でみっちり描いている。その直後に、防衛隊の作戦行動の一環でも同じ状況が起こりうる(状況を考えた時そうせざるを得ないこともある)、単純に考えれば「人間の中にも視点や判断すべき状況の違いがある」ということがCCPの場面の時点ですでに描かれている。そして今回の中盤以降、「違う視点によって動いているために、意図を掴みきれない存在は人間だけではない」という気付きに繋がっていく……と、中川監督による2話組として見た時、非常に強固な形で「視点の狭さ・広げ方」という主題を描いているように感じました。
(もっと言うと、中川監督の前半担当回であるニジカガチ前後編においても、横峯教授はある意味人間に見切りをつけていたために、人間間の視点の違い/ゲントの主張では止められずに一蹴された一方で、人間社会のことを重視しすぎていたために『他の生物はどうなるんですか』というテルアキ副隊長の主張に関しては盲点であった=より広い視野が急に開かれたことで、その正しさを素直に認めて『正面からぶつかる』という一種の対話を選んだ、というようにも見えるかと思えます。この場合やっぱりニジカガチは『善悪や感情を持たないシステム』『機構としての怪獣』としての存在であることに意味があるので、……ザンギル回がなあ……ザンギル自身の存在や基本的なプロットはめちゃめちゃいいだけに、余計にニジカガチ使っちゃったことが残念なんだよなあ……)
あとこれ、ゲバルガ編以上に源川司令官が川野さんである=コスモスTFCでのSRCの初代隊長・アカツキ隊長を演じた方である、ことがかなり刺さった部分であるようにも感じます。両者ともに「現状の人類としてできること」をやっている人物であり(源川氏も厳しくはあるものの理不尽な命令は行っていない)、世界観的に現れる怪獣の脅威の方向性が違うということを加味しても、行う行動も得られる結果もかなり違うものになってしまう、という点の皮肉さがかなり効いてくる。

ところで日本でのタガヌラー現出地になってしまった小洗、まず間違いなく大洗が元ですが、海岸周辺地域という表現ではなく川を主体とした戦闘場所になっているのが印象的。あともしかして大洗(に相当する町)が舞台になるのって、『観光が主産業』である自治体=破壊や怪獣出現による被害での影響が工業都市より甚大である、という意図や、後半の構図を考えると同じく観光地である10話での鬼湧谷のリフレインもあったんだろうか……?

グリユニ超全集やらアーツベータスパークアーマーで頭が割とXのことを考えるようになっていた管理人を突然のネバダが襲う!!(※襲われているのはネバダ施設の方です)
UNVERネバダ支部といい、こういう時にネバダが使われがちなのはエリア51の影響なんですかね。それともシンプルに土地が広くていろんな研究所があるとか……?

そんでもって今回最大の大事件、2回目CM前の爆弾投下。管理人はテレ東で放送されているガシャポンCMの間変な叫び声を上げていたといいます。
いや今となってはお恥ずかしながら、管理人タガヌラーは初出がかなり謎、少なくとも3話時点では地球生物かどうかも曖昧だったので、

13話感想でも書いた通り「タガヌラーが実は宇宙怪獣で、ウェイブシリーズとは別の独自の脅威存在をあのビームで呼び寄せたのでは?」と予想していた……のですが物の見事に大外れ、かつ今回記事序盤から書いている通り「確かにガイアを意識した展開ならそっちの方が予想できて然るべき内容だった」ものであって本当に舌を巻きました。むしろ答えを提示された今となってはなんでそれを予想していなかったのかという……。
加えて言うと「今ウルトラマンを制作するにあたって、規模感や予算感ではガイアをそのままやるわけに行かない、では今回やりたいウルトラマンのテーマとガイアの要素を複合させるならどこか?」というのを田口監督と小柳さんが考えた時、「地球の外から飛来する、地球生物に理解できない『滅び』に対して、地球人とウルトラマンのみならず地球生まれの怪獣たちも共に戦う」という要素こそが1番重要で見せるべき部分だ、と考えてくれたのであろうことはものすごく嬉しいところです。管理人がガイアで好きな要素ってやっぱりそこなので……。
これ多少牽強付会になりますが、

3話時点で少々考えていた「ティーテリウムが人類によって精製されるようになるまでタガヌラーは何を主食にしていたのか?」に対する答え(おそらくティーテリウムを摂取すること自体がタガヌラーの習性としてはイレギュラーで、巨大化し・高純度かつ危険性の低いエネルギー源を摂取することで『ビームを放つ』ことが主目的だったと見える。サイズも普通はもっと小さいのかもしれない)と、

加えて先週書いた「こんなに生活圏が広い生物であるデルタンダルが14話まで見つからなかったのはなぜか?」に対する答え(おそらくデルタンダルは通常の生活環では一生を地下で過ごすが、宇宙からの脅威を察知すると成層圏付近で待機・あるいは出撃して外敵を迎え撃つ態勢に入る?)にもなりうるんですね。
これはゲバルガ登場編以後で他の方が一部言われていた話でもあるんですが、ゲバルガが地球に現れた=イルーゴの卵が地中に埋め込まれて以後、14話でデルタンダルが空中での生活に移行、16話で地中深くが主生息地であるモグージョンが地上付近に移動(イルーゴや卵の気配を嫌った?そもそも孵化していたイルーゴに追いやられた?)、イルーゴの孵化・ブルードゲバルガの現出を経て、20話より「1ヶ月前」からズグガンが人里付近の地中へと移動(イルーゴによって追いやられたこととモグージョンがいなくなって捕食者がいなくなったことの複合?)、21話では「ゲバルガの能力を模した兵器」に海底あるいはその地中に潜航していたデルタンダルBが反応して現出(サードウェイブが現れたと誤認した?)、22話ではギガスやレッドキングといった、いわゆる通常の地上怪獣ですら「宇宙から来る何か」を察知している様子がある……と、EMPでの人類社会への影響以上に、『ゲバルガが地上に到達したことで地中の環境が激変していた』、テルアキ副隊長がゲバルガ迎撃待機時に言っていた懸念がまさに的中していた事態になってるようにも見えます。
もしかするとデルタンダルB自体、ゲバルガが現れたことで、サードウェイブに備えて通常よりはるかに巨大な個体が待機して、仮にタガヌラーやデルタンダルの迎撃が間に合わず地球上にサードウェイブが地表に到達した場合に飽和爆撃で殲滅するための個体だった(他シリーズになりますが、デルタンダル種においてメガギラスと同じような個体)のではないかとも思え、それがゲバルガを模した兵器によって不用意に叩き起こされてしまった、大きく見れば地球側の迎撃体制を地球人側が無闇に一つ絶ってしまった……と解釈することもできなくはないことに肝が冷えます。たった一つの情報でこれまでのシリーズの見え方がガラッと変わってしまう、という意味で、どんでん返しがものすごく上手く決まった開示でしたね。

ある種の自己弁護かもしれませんが、タガヌラーが「何を考えているのかよくわからない顔」、デルタンダルが「一見すると非常に凶暴そうな顔つき」なのもかなり有効に機能していて、実際人類に友好的かどうかといえば全然友好的ではない怪獣たちなのも上手く機能していたと思います。ズグガンの時もそうでしたが、彼らは彼らで自分たちの生活圏を維持する、自分たちの種を存続させる(あえていえばその結果として『地球環境が維持される』とは言えるかもしれない)ことを考えているだけで、人類の味方をしてくれているわけではないし、生活しているだけで地球人の文明に被害を与えることもあり、何より当たり前のことですが言語で教えたりはしてくれない。だからこそ地球人は彼らを倒そうとするし(自分も含め、多くの視聴者がそのこと自体には疑問を抱かなかったと思います)その行動・衝突自体は間違っているとは言い難い。けれどもその結果として人類も怪獣も無意味に損耗し、もし何も気付かないままであれば諸共サードウェイブによって滅んでいるかもしれなかった……という怖さ。
そしてその中間的存在として、ウルトラマンブレーザーという巨人、「地球人に非常に近いシルエットをしており、基本的には協力的な行動をとってくれる」「時折不可解な行動を取るが、順序を追って認識すると理解可能である」「だが彼のほうから地球人の言葉での意思疎通は行ってくれない(こちらの言語はゲントを介して通じている)」存在が前提として居ることで、「もしかしたら言語でのコミュニケーションができない存在でも、意思の共有をすることはできるのかもしれない」という導線が実は引かれていた(けど見落としていた)のが、してやられた!と感じる部分でもあります。本当にしてやられた。

しばらく長く続きますが、もう一つおまけに。管理人、前作であるデッカーというシリーズがそれはもう大好きなんですが、「やってほしかったけど実際には見られなかったな」と思う要素も少しはあって、その一つが

この時にも希望として書いた「地球怪獣と一緒にスフィアを撃退する」という展開なんです。デッカーでのスフィアというそれはもう単純な、自身を悪意とすら認識していない最悪の悪意の塊は、地球人や協力してくれた宇宙人のみならず、地球怪獣にも散々な悪影響を与えていたわけで。最終決戦でそれをウルトラマンや地球人だけではなく、怪獣たちもともに打倒してくれる展開だったらなあ、という思いは少しはあったんです。でもそれは実現しなかったなと。
ですが、今回のブレーザーを見て、加えて「ブレーザーは企画そのものがかなり先行して動いており、デッカーの制作と一部被っていた」という話を踏まえると納得できるものになった。その展開って、「シリーズとしてのガイアを一部引き継ぐ」シリーズがあるならそちらでやる方が圧倒的に正解なんですよね。ダイナを引き継ぐのであれば「人の持つ前へ進むという意志・可能性」の方を前に押し出すべきであって、実際に制作されたデッカーは(意図してか否かはさておき)そちらを強く描くことに専念し、次シリーズになるブレーザーで終盤重要になる要素と被ることも(意図したのか結果的になのかはわかりませんが)避けられた。作品単独ではない見方なので少々マナー違反かもしれませんが、「あれ見たかったなあ」という思いが変則的ながらも成仏したことになり、ガイアファンとしてのみならずデッカーファンとしても、非常に嬉しい展開でした。

さて内容の話に戻ります!小洗でのアースガロンvsタガヌラー、ネバダでのブレーザーvsタガヌラー戦ともに、アースガロン・ブレーザーが上手、タガヌラーが下手側で、普段ならこれは「ヒーロー側が上手・怪獣側が下手」というセオリー通りの絵作りなんですが、今回は序盤で大怪獣空中決戦のオマージュを入れ込んだ上でタガヌラーの真意が途中で明かされるので、ガメラ2や3での演出意図(上手には「正しい」という意味と同時に「優勢」という意味があり、レギオン・イリスといった敵怪獣が劇中継続して上手に位置し続け、最後の最後にガメラが上手側に立って撃破する……というものがあるんです)も感じて面白いな……と思ってたらタガヌラーがレッドロッド(頭部を損壊したレギオンが放ち始める、まあ今回タガヌラー発射したようなやつ)ぶん回し始めて「それは流石にアウトじゃないすか中川監督!?」と叫んでしまった。この監督一年でゴジラもウルトラマンも撮った上にガメラまでやろうとしてる!!!!!!!(中川監督主導じゃない可能性もありますけど!)
タガヌラーがティーテリウムタンクに到達すると、構図的にアースガロン/ブレーザーが下手、タガヌラーが上手になるのでめちゃめちゃ明確な意図なんだよな……。
エミからの進言そのものはともかく、テルアキ副隊長の判断によるタガヌラーへの攻撃の中止とサーモバリック弾の撃墜、視聴者視点で考えると正解であり、よくぞその判断をした、という表現なのですが(管理人は正直これまでのブレーザー本編で1番感動した場面です)、一方これ「V99案件に対する情報をギリギリSKaRD内で共有していた」「タガヌラーの行動を生物の習性として納得できるテルアキ副隊長が現場指揮を取っていた」、本当に針を縫うような条件が重なっての判断だったんだよな……。加えてもしエミがV99の話をゲント以外の3人に話す機会がなければその時点でもう終わっていたので、コミュニケーション……とは言わずとも「情報共有」の大事さがものすごく効いている場面でもある。
しかしこれでタガヌラーが助かるのか否かドキドキしながら見てたもんで、「ブレーザーにも伝えてみます!!」でどうするんだよ!!と思ったら現地スピーカーをハックして送るという画にめっちゃ変な声が出た……。
「ブレーザーに日本語で話しかけて通じる」という要素自体はイルーゴ戦以後複数回出ていますが、今回はタガヌラーを軸とした構図が構図だったので、マザーディーンツ戦でガイアに玲子さんが呼びかけるシーンの方を強く思い出しましたね……。

タガヌラーの発射体制防衛を判断するブレーザー/ゲントとテルアキ副隊長、ヤスノブはともかくアースガロン(EGOISS)自身の方から「サーモバリック弾を撃てばいいんですよね?」という判断を取るのは正直かなり驚きどころな気がします。有人機ではないにしてもフレンドリーファイアと見ていい状況なので、防衛隊の戦力を判断するAI側から自軍の兵装を攻撃するという提案が出せるものなんだなあとか……(誤った判断によって発射された兵器の場合こういう時にセーフティがかかっていると危険だから、とかか?)
構図としては10話におけるブレーザーのそれ(管理人が見事に読み違えたやつですね……)と同等であり、それが今度はSKaRD・アースガロンとブレーザー/ゲント全員の同意をもって行われるというのはかなり見事な演出のリフレインだったと感じます。そういえばあの時ブレーザーは「デマーガを殺す必要はない」からああいう解決を取れた一方、3話のタガヌラーを倒すことには躊躇がなかった=タガヌラーの真意を理解していなかったということにもなり、ブレーザーもまた万能な・神格化されるべき巨人ではなく、周囲の情報や関わった生物(シリーズを通してのゲント、10話でのジュンくん、今回のエミ)から情報を得ることで行動を変えるんだ……という点も見えてくるんですね。

2体分だったことを加味しても、今回命中させたビームでサードウェイブ怪獣を月に叩き落とすことに成功しているので、1体目のタガヌラーがゲバルガに命中させたビームも相当地球への到着を遅くさせたんだろうな……。これも他の方が触れられていたのを見た説ですが、タガヌラーによる地球人より早いゲバルガ迎撃がなかった場合、セミ人間の皆さんによるガラモン呼び寄せよりゲバルガの到達が早まったり、チルソナイトスピアの加工が間に合っていなかったりして、ゲバルガの殲滅までに余計な時間がかかる=被害が拡大したり、殲滅そのものが困難になり最悪人類文明が壊滅していた可能性もあるわけで、そんな彼を疑っていて本当にすまなかった……という気持ちになって仕方ない。葬式しなきゃ……。
加えてサードウェイブ怪獣について、タガヌラーが発射したビームを「そのままの軌道で反射する」という方法をとり、「発射した方向に対して大まかに拡散する(他の星の環境を悪化させたいのであればその方が効率的な気がする)」という形ではないことが、まあ物理的な制約によるものだったのかもしれませんが、もしかすると「自らを狙ってきた相手に対する殺意」のようなものがあるのではと感じ軽く震えます。自分の存在に気付き、迎え撃とうとしたものを許さず必ず殲滅するというか、そんな。
このたった1話で種としての印象が全く異なる印象に変化したタガヌラー2体の最期に合掌。劇場版の入場者プレゼント、なんでブレーザーとアースガロンとタガヌラーが並んでるのかと思ってたけどこんな活躍見せられたらもう納得するしかないよ……。
ところでこの展開を踏まえても、劇場版では普通に「脅威としてのタガヌラー」が登場するようなんですが、これってもしかしてガイアでのゾンネル(初出時はディグローブの迎撃に利用されるも、シリーズ後半では他個体が地球防衛のために登場、一方で根元破滅招来体の脅威が過ぎた後のOVでは自然に現出してしまう個体がおり、G.U.A.R.D.が迎撃せざるを得ない状況である)的な存在、ブレーザー世界における地球怪獣の象徴的存在になっていくってことなんでしょうか。

というわけで、放送前は正直「ゲントの肉体負担の話がメインになるのかなあ」程度に思っていたらとんでもない、管理人が今でもウルトラマンを見ている理由のその根幹につながる要素(ガイア、そしてコスモスというシリーズがごく初期の印象にあることがものすごく大きな理由なんです)がまさかの開示をされたことで、誤解を恐れずに言うならばブレーザーというシリーズの評価が今回で2、3段階一気に上昇する、そんな内容でした。
失礼ながら、田口監督と小柳さんの方向性のイメージからして、正直言ってこれをやってくれるシリーズだとは思ってもいなかった。お見それしておりました……。
サブタイトルが明らかに「V99のVとはなんなのか?」を明かしているにもかかわらず、V99に関する新たな情報は何もわかっていない(SKaRDの3人に共有したのは新情報というわけではないので)のですが、それがマイナスになるどころか、一見して扱われてはいないのに「この事態の根幹はなんなのか?」を雄弁に表現したサブタイトルになっていて、正直かなり震えます。劇場版の入場者プレゼント、ここまできたら絶対タガヌラーを引きたいぞ……。

さて年内放送は予想通りにこれにて終了、年明け1回目の放送となる次回は……特別総集編なのは予想の範疇ですが、まさかの第2回MCであったパグとげーどすくん・もぐーじょんちゃん再登場ということで、なんか色々問題のあった(褒めてる)(こんな言い方だけど褒めてる)彼らに、おおまかにファードラン登場以後の展開がどう見えているか大変楽しみです。それでは今週はこの辺で!

年末記事は足をちゃんと治して書きたいぜ……例年より書きたいことがいっぱいあるから……。