11/25実施 新文芸坐・グリッドマンユニバース再上映(雨宮哲監督トークショー)レポート

(以下 「追記」まで11/25 予定地時点での更新内容)

いきなりなんだ!?と言われそうですが。

こちらのサブブログや先週までの記事でも度々書いていたツブラヤコンベンション2023第二会場こと

池袋・新文芸坐で11/25に実施されたグリッドマンユニバース再上映、および雨宮哲監督トークショーを観覧してきた……のですが。

地味に(少なくともグリッドマン関連で自分が見た限りでは)これまで・ここまでの話を雨っち監督がされてることなくない!?というレベルであまり聞いたことのない内容だったもので、これをツブコンレポートに全部載せると大変なことになるぞ、という思いがあり。

そもそも全部やれるのか?という問題もあるのですが、とりあえず独立記事にしますよという予告をしておきたかったのが一つ。

もう一つは、今回MCを担当された小黒さんが言われていた、「新文芸坐のグリユニ上映すごかった!!の声が集まれば、劇場総集編GRIDMAN/DYNAZENON/グリッドマンユニバース連続上映オールナイトの可能性もありますので!」とのことなので、極力早めにお伝えしておきたかったというのが一つです。

本文が明日になるか明後日になるかは!!未定!!

そしてなんで管理人はグリユニを池袋で見てグリユニ新商品を水道橋で買ってるんですかね!!(何買ったかはツブコン本レポートに上がると思います)

(11/27追記)

ちょっとタイトルを変更しての本更新です。
例によっていつものレポート記事の注意書きになりますが、管理人が現地でとったメモをもとに構成しており、可能な限りの記載をしますが、細部の言及はもちろん、微妙なニュアンスなどには漏れがあるものという前提でお読みいただきたいものになっています(そもそも全文起こしをするな、という指摘はまあごもっともなのですが……) 明らかにここは記憶違いだぜ!ということがわかる方は鼻で笑うか優しく指摘していただけると助かります。
また、一応わかりやすくするつもりでいますが、途中自分の個人的な体験やトーク内容を受けての解釈等、管理人個人に基づく内容が含まれることをご理解ください。ご理解の上で、ここから下部をどうぞ。

道中〜会場入り

そう書き始めていきなり個人の話だなあ !!と言われそうな書き出しだ。仕方ないんですよだって当日別の大イベント

があったんだから……

というわけで水道橋は後楽園駅から丸の内線で池袋へ。管理人新文芸坐そのものはおろか、名画座というものに行ったことがなかったのでどんなものかとドキドキしながら探し、

発見、入場。
……したはいいんですが、入ってからが地味に大変でして、この直前に映画版のLWA2本立て上映があったのもあり、しかも画集の抽選販売?があったようでそこまで広くないロビーのキャパがほぼ完全にオーバー。導線もしっちゃかめっちゃかだったんですがこれはちょっと人数の問題で劇場の方を責める気にもあまりなれない……。

あとごく個人的な話として、当日水道橋で先行販売された雨宮監督のイラストTシャツをもう着てる方を発見したりして、その時点では物販を諦めざるを得なかった自分としてはちょっと羨ましかったです。

これは幸いにして本格的に混む前に撮影できたアニメスタイルさんによるパネル。坂本さんのイラストをフォーカスして撮りましたけど、右下に雨宮監督のサインもありますね。あと確かちょうどこれを撮ってる最中、真後ろを半田さん(LWAキャラデザ)が通っていかれたっぽいです。なぜわかったかというと半田さんのあの妙に陽キャっぽい声がしたから……。

色んなところへ退避していたのですが、そのうちに入場時間となり突撃。座席の傾斜がいわゆるシネコンほどはなく、なんとなく随分昔に(コスモスの映画を見に)行ったことがある長野の相生座ロキシーを思い出す施設だなあと思ったりとか。
そんなことを考え準備しているうちにトークショー開始。

トークショー内容

今回のMCである小黒さん(アニメスタイル編集長)と雨宮監督の自己紹介からするっと始まり。
どちらが言われたか曖昧になってしまいましたが、「今日はどこまで話していいんでしょうか」という話から。
雨宮監督から「初見の方がいるかもしれないし」という話が出たところ、大体劇場中央ちょっと前寄りの自分から見える場所だけでも3名ほど手が上がり、今回初めての方もいるんだ……とちょっと驚き。

小黒さんから「ロボットが出てくることとかは言ってもいいですよね」
雨宮監督「もうそんな話をしちゃうんですか!?」で劇場ややウケ。
「恋愛映画だと思って来てくださった方もいるかもしれない」と続けられたんですが、両方とも何も間違ってないのがこの映画の変なところだよな……と改めて思わされた導入でした。

ここからしばらくは雨宮監督のキャリアや志向についての話。
小黒さん「アニメスタイルではこれまで雨宮監督をインフェルノコップの人として扱ってきたんですけども、今は流石にもうその扱いはどうなんだろうという……」
雨宮監督は「でもどっちも間違いなく僕の作品ですから」
小黒さんから雨宮監督はどういうビジョンでこれまで来たのか、的な質問が。監督自身は元々監督志望ということではなく、ずっとアニメーターとしてやっていくつもりでいたとのこと。SSSS.GRIDMANより前、今石さんや大塚さん(ちょっと曖昧、とりあえずTRIGGERの偉い人たち)は「ラムネ&40」みたいなアニメが作風的にいいんじゃないか?と思われていたらしい話が出ます。

管理人、ラムネ&40って名前はよく聞く割に内容をちゃんと知らないのでそろそろちゃんと見たほうがいい気がしてきた……。

志望の話から、小黒さんから「雨宮監督のやりたいことってなんだったんですか?」と聞かれたところ、監督自身かなり意外そうなリアクションで「やりたいこと!?」との反応。
監督からするとインフェルノコップもニンジャスレイヤー(フロムアニメイシヨン)も、下りてきた仕事であり強烈にやりたい内容というわけではなく(もちろん『やりたくなかった』というニュアンスでは全くありませんでした)、一方SSSS.GRIDMANはSSSS.GRIDMANで「やってもいいかと聞いたところ、やれることになったのでやらせてもらった」仕事であって、やりたいことど真ん中かと言われるとそうでもない、というそこそこ意外な答えが。

それを受けて小黒さんが「GRIDMANの時に女の子の内面を書くような小説やってた(『私の知らない他校の制服』か?)けどああいう感じのアニメがやりたいってことでは……?」と振りますが、それに関しても「あれがものすごくやりたいっていうわけでもない」とのさらに意外な回答。
DYNAZENONでの南姉妹の関係性に関しても、雨宮監督自身お姉さんがいらっしゃりあまり仲が良いわけではない、お互いどう思っているんだろう……という点から膨らませていった、といった話だそうです。
雨宮監督の現在までの仕事内容として、総じて「どうしてもこれがやりたい」という熱意あるいは執着のようなものはあんまりない、強いて言うなら扱うのであればメカはやりたい、といった雰囲気でした。

これは管理人の個人的な受け取り方になりますが、雨宮監督のこれまでのお仕事(インフェルノコップ・シヨン・SSSS.・絶滅ホスト)って「監督自身は求められたのでそのオーダーをしっかり返す」「その中に滲み出てきている監督独自の作家性がかなり独特であり、視聴者はその独特さがクセになっている」という印象だったので、この監督の受け答えは正直かなり納得できるものでした。
GRIDMANがやりたいことど真ん中ではなかった、というのは結構意外ですが、「電光超人が熱烈に好きだった」ことと、自作としてのSSSS.シリーズへの目線の向け方をかなり明確に切り分けている、と考えるのが自然ですかね。

その後、主にSSSS.GRIDMANからグリッドマンユニバースに関しての内容へ。

ここまでの話の流れから、まず監督からSSSS.GRIDMANは「みんなでやっていきながら作ったらああいう形になった」との話。イメージとして、デジモン・ペルソナ・デュラララ的なビジュアルを意識したとのこと。作った結果しっくり来た作品という話もありました。
池袋が会場のイベントでデュラララの話出てくるの不思議な面白さがありましたね……。

一番頑張ったのはキャラにしてもメカにしても「販促」。毎回必ずなんらかの見せ場をいろんな形で入れたかった、的な話を。
その中で小黒さんから「広く知られてることですけどエヴァお好きですよね?」の話が出、雨宮監督がもう本当に好きなんだろうなという動きで「超〜〜〜好き」という宣言。そこからしばらくエヴァの話へ。
エヴァは後半が取り沙汰されやすいものの、今石監督などがよく言われているのは前半の完成度の高さ、エンタメとしての出来の良さ。
でも雨宮監督としては後半こそが大好き、内面の話をやってるパートがいい、「ずっと電車乗ってて欲しい」という欲求まで。
小黒さん「だからGRIDMANでも電車乗ってるんですね」
雨宮監督「それはだいぶあります」

小黒さんから「アカネの世界が実写なのはエヴァから?」という質問。
監督の回答は、「意識はしているけど、それよりも原作であるグリッドマンが元々実写作品だったので。『アカネの世界』は、設定としてはあるけど描写するつもりがないままでいた。けど円谷さんからやっていいよ、撮れるよ、と言われたのでやってみた」というもの。この辺はこれまでの媒体でもちょいちょい触れられていますね。
実写パートにしても、旧劇エヴァ本編中の実写そのものよりは、「THE END OF EVANGELION」の特報、三石さんや林原さんがOLやってる映像っぽくしたかった……ものの、画角とか構図的に「このまんまだと撮れない!」となって断念してあの見せ方に、という話でした。

THE END OF 〜の予告ってことは

これですかね(公式の映像じゃないので貼っていいものかどうかかなり判断に迷いますが……)(でもこれをエヴァ公式が今上げてても困るよ……)
管理人、公開当時ではないにしろこの映像を、旧エヴァをすでに見た後に突然たまたま見てしまったことがあって、「なんだこれ!?」という印象がかなりあったもので……あのGRIDMANラストの実写パートの印象がここにあるというのは結構衝撃です。でも改めて見ると、「ブラインドの前で振りかぶるように上を向く女性」の構図は確かにそのまんまなのか……?

閑話休題。トークショー内容に戻ります。
GRIDMANのラストに限らず、GRIDMAN/DYNAZENONの世界観(アニメ)とアカネの実写世界の関係は、雨宮監督の中に解釈の一つとしてあるけど(ここで小黒さんがかなり頑張って引き出そうとするも、)設定の根幹に関わってくる内容で、自分の一存で決められることではないのでこの場で断言はできない、との話。
確かこの話の一環で「円谷の人今日来てないので……」って話があったと思うんですが、我々としては「ああうん……今日めちゃめちゃ忙しいからね……」と思ってしまって仕方ない部分でした。なんなら我々だって忙しかったよ!!

ここで小黒さんから、「エヴァの時の庵野監督とユニバースでの雨宮監督の描き方、姿勢の違いがすごく大きかったことが印象的」という話があり。端的に言うとユニバースでは創造物、フィクションをそのまま肯定していて、旧エヴァ時の「現実に帰れ」という強硬な姿勢がない(『あれ最高ですよね!!』という雨宮監督のリアクションあり)との指摘が。
これを受けての雨宮監督の話が今回聞けて良かったと思った部分で、どういうものかというと
「でも『まごころを君に』での庵野監督の主張はある意味優しい。ユニバースはフィクションの素晴らしさ、気持ちよさを描いてる一方、あるはずの危険性に触れていないんじゃないか?という懸念はある」

ある意味当たり前なんですけど、あ、意識してたんだ、というちょっとした驚きがありました。そこから庵野作品に限らず、創造者と非創造者を描いた作品についての話へ向い、この辺の話が今トークショーのキモだったように感じます。

小黒さんから、「1970年代の作品群、石川賢作品なんかだと被造物が創造者に反逆する展開が多い、自分たちが作られた存在であることに怒って創造者のところへ殴り込むと、自分たちと同じ顔をしていて、そのまま殺されてしまう……的な。
(ここで雨宮監督から「中島かずきさんとかもそうですけど、1970年台作品とかその後継作品って体制に抗いすぎじゃないですか?」の話を受けて)
でも自分(小黒さん)もそっち側。あの当時の若者にとって体制への姿勢はそういうものだった」「その辺の極地がエヴァの時の庵野さんで、システムというものを全て敵視している。NERVすら敵だったことになる」
それを受けた雨宮監督から、「見るのはともかくそういうの(を自分から出すこと?)がピンとこない。アニメーターが搾取されているぞ!と言われても『そ、そうなんだ』で終わってしまう。本当はそこで止まっているのはよくないかもしれないけれど、行動に表さない。ロックバンドを超いいと思っても小さい音量で聴いてる、的な」
小黒さん「今の若者的なのかもしれない、間違ってると言われても、今そこまで不幸ではないので実感がないんじゃないか?と我々からすると見えます」
雨宮監督「若者っていっても40代ですよ!?」
小黒さん「いや制作されたものは制作者より若くなるものだから。ガンダムの時の富野さんだって30代で10代のアムロを描いてるわけで……」

かなり要約したものになる(適宜順番入れ替えたりもしてます)が、概ねこんな感じでした。なんかSSSS.を題材に・テーマのど真ん中の話でものすごく重い話をされている……!!という感動があったと同時に、一方雨宮監督が自認されてる表現と視聴者(というか私)が受け取った内容って意外と違うのかもしれない……?とも思った部分で。ここからしばらく自論を書くので、トーク内容だけが気になる方は※の間は飛ばしていただいて結構です。

管理人、GRIDMANを見返すたびにちょっと気になる部分があって。それは8話での「六花は私のことを嫌いになれないよ」というアカネさんのシーン。
この時のアカネさん、内心はともかく言動としては「君たちは私のことを嫌いになれないんだから逆らえるはずがないよね?」というつもりでいて、そんなわけはないのでその手痛いしっぺ返しを9話で喰らうわけじゃないですか。
その時の六花・内海・裕太(この時点での裕太をカウントしていいか、という疑問には「ユニバースを経てるんだからいいだろ!!」と叫ぶ)は、「君のことが嫌いだから逆らうんじゃない」「君のことが好きで大切で、その上で間違っているから止めるのだ」という姿勢なんですよね。
これは体制か反体制(あえてこう書きます)という線引きよりも、「創造主が自分たちを作ったことは認める」「その上でその創造主の行動が正しいか否かは自分たちが決める、決めていい」というところに軸足を置いているように見える。その視点で見れば、ある種「(間違った)体制への反逆」ということをグリッドマン同盟は行っているように見えます。
トークショーのこの先の内容にもちょっとかかってきてしまいますが、新条アカネという少女は本来、「自分が自分で創った世界にただ居残り続けることは間違っていることだ」と認められる人物な訳で。そんな彼女が甘やかされておかしくなってしまった時に「今の君は間違っている」と伝えるのは、形こそ違えど間違いなく神への反抗であり、故にそれが成立した成果として「神様がいなくなった世界」になってもツツジ台は消えてなくならなかったのではないかと。
そんでもって、そのSSSS.GRIDMANを経たからこそ、「世界を創ったのがあのグリッドマンであるのならば、もしそこに悪意があるとしてもグリッドマン自身のものであるはずがない」という、ユニバースにおいて爆速で出る結論、そして「グリッドマンの中にある宇宙はグリッドマンだけが独占するべきものでは決してない」という結末に至るわけですよ。
見かけ上の論点が動いているだけ、雨宮監督が重視していないだけで、実はむしろ「反抗」という視点は、過去の創造者と被創造者たちを描いた物語から、形を変えて一貫しているのではないかな、と感じる部分ではあります。「さあ僕たちだけの革命を起こそうか」って主題歌でも言ってますし
あともう一つ、創作物の気持ち良さしか描いていないという点も、「創作者として『あの』グリッドマンと同等に誠実でなければこんな結末には至れないのだ」という視点を持つと、途端に(素晴らしさという点はともかく)「ただ気持ちがいいだけでこんなに円満になるわけがない」というかなり厳しい視点を持ち込めるように思うので、重要な懸念点ではあれど、それは無意識下できちんとクリアしていた作品だったのではないかな、と。
(もしかするとそのへん含めて長谷川先生が意識して構成された、という可能性があるかなとも思います)
以上、閑話休題。

トーク内容に戻ります。小黒さん・雨宮監督ご両人がエヴァから始まるこの辺の話をとりあえず話しきって、続いては制作の話。
小黒さんから、GRIDMANの時に続編に当たる作品の話はあったのか?という質問。
雨宮監督「なかった。GRIDMANで終わりのつもりで作ってたので、『2やれ』って話が来て『ええ〜』(嫌そうではないが困った感じの)となった。DYNAZENONの時、絵など実制作が動いている途中で映画の話が出てきて『映画かあ〜』と。映画は初めてだったので。シナリオを組んでる時には映画の話はなかったので、設定的に(ユニバースは)DYNAZENONの時に考えていたものではない」

映画の話が最初にきた時の話に続き、雨宮監督から「宇佐Pから最初に渡された案はファンサしかしていない映画で、流石にこれはどうなんだと思って抗って色々変えていた。けど変えた結果としてできた映画、ユニバース自体がファンサしかしていない映画になっているので『これがPの仕事か……』と実感しました」「ある意味上手く誘導されて作った作品」

ここで小黒さんからちょっと意外な指摘が。「ガイナックスアニメからTRIGGER/カラーという制作陣の系譜だと、エヴァしかりグレンラガンしかり主人公とヒロインがくっつかないのが定番だった。シンジくんもシモンも報われない。でもグリッドマンは映画でちゃんとくっついて、その辺が素直に描かれているあたりに作家性の違いを感じる」「なんてちゃんと恋愛をするんだ!って思いました」とのこと。
すかさず雨宮監督が「ちゃんと恋愛をしたいならロボットが合体しないのでは!?」と返されて会場だいぶ笑ってた記憶があります。私も。

制作の話からキャラの話になり、小黒さんからまたしてもキレのある一言が。曰く、
「雨宮監督女好きだよね」
すかさず「好きですね」って返した監督がちょっと強すぎた。
その後も「キモいって言われたい」「は?って言われたい」「雨降って一限サボる女の子が好き、っていう話をしたら堤さん(TRIGGERのP、グリユニではたしか制作統括?)に『は?』って言われた」などなど、あまりにも矢継ぎ早に飛んでくるエピソードに観客は少し引いていたといいます(伝聞調)

続けて監督から、キャラクターとしては夢芽の細かいところに割とフェチが詰め込んであるという話が。
「制作の初期段階から、トレーナーとかチュロス食べるところとか、監督のみならず坂本さんや竹内さん(おそらくGRIDMANラインP、地味に「DYNAZENONでは途中から外れてしまった」という初耳情報が)の見たいものがかなり細かく詰め込まれている、六花は(キャラとしてはともかく)女の子として結局好きになれなかったけど夢芽はそういう要素をかなり多く入れました」といった話が。
この辺りを一通り話された後に「自分でもすごくキモいと思うんですけどみんな多かれ少なかれ持ってるはず、言語化して人前で話すからキモいだけ」という話を差し込まれるあたりが雨宮監督の独特な客観視だな……と思った部分でもあり。

夢芽と六花に関して触れたので、小黒さんから「アカネはどうなんですか?」という質問。
監督の返答は「アカネに関しては好きの意味合いが違って、女子として好きという対象ではない」「監督自身がなりたい姿である」との話。なので「自作の中に入ったらそりゃうまくいかない」というのを描きたかったのだという、一つ一つの内容はこれまでいろんな場所で出ていた内容を総合したようなものでした。
同時に「あんまりこれを言うとグッズの売り上げに響く」とも言われていたんですが、新条アカネという女の子をズブズブに好きになる視聴者、大概「新条アカネとは雨宮哲自身の理想の姿である」という話を多方面から聞いてるはずなので今更もう響くも何もないと思うんですよ。

キャラの話を一通りされたので、今度は一種の制作体制の話(?)へ。

小黒さんからの質問として「ヒーローや怪獣がCGになることへの抵抗はなかったんですか?」
監督「全くなかった。見本市(boys invent the great hero)の時に(から?)自分が直接手を入れるべきではないと考えていて、CGなら自分が手を入れようがないので、そういう面でもとてもよかった。トランスフォーマースーパーリンクとか、トップ2とか、作画とCGが併用されている作品でもそこまでそのギャップが悪く言われていなかった、気にならないことがわかっていたので抵抗はほとんどなかったです」「ただ作画とCGのハイブリッドにして、作画のベテランの人たちも呼べたのは良かったですね」という回答。

続けて、「CGの時は特撮を意識して、(特撮パートの)作画の時は勇者シリーズに、(本編の)キャラ・レイアウトはTVのエヴァ、特にマグマダイバーに寄せていた。トータルで深夜アニメっぽくしたかった」「ただし戦闘パートを勇者に寄せるとエヴァ的な映像ではなくなる、勇者的なバンクとエヴァ的なバンクは違うので」「エヴァにもバンクはあるけど、世間一般で言われるバンクらしい使い方をしていない」……という内容になりまして、管理人としては結構ふむふむと思いながら聞いてたんですが、この話の途中で突然
「これ専門用語多すぎないですか!?」みたいなことを急に言われたのがちょっと印象的でした。アニメあんまり詳しくない管理人でも、(具体的なレイアウト内容とかはともかく)おおまかにはわかる内容だったので正直この内容で言われるんだ……というちょっとした驚きがあったり。

制作体制から、ある種の内容的戦略の話に。

雨宮監督「深夜アニメっぽくしたいとは思っていたけど、美少女アニメとして作ると勝てない」「なぜなら美少女アニメは美少女の総本山だから、その土俵では我々は不利である」と、TRIGGERって美少女アニメでは勝てないと自認されてんの!?と、正直その認識自体に驚く話の直後に、
ヒーローアニメであるということを基本にして数を絞ったヒロインを入れれば勝ち目があるかもしれない!!という視点で(六花とアカネを)構築した」と続けられて、色々思うところがありました。
SSSS.は正直(いい意味で)ほぼ美少女アニメとして受け入れられてる気がするんですが、制作される皆さん側としては不思議に思える葛藤があるんだな……。

作画の話に移り、斜めの構図は作監が大変だから入れないようにした、といったテクニカルなところから、坂本さんがキャラデザを担当された経緯へ。

雨宮監督「坂本くんは自分のわがままを受け止めてくれる。GRIDMAN制作の初期に『なんかやりたい』と言ってくれたので、絵も描けるしキャラデザに入ってもらった。女の子好きな雨宮監督のものすごく細かいわがままをみんな聞いてくれてうまく落とし込んでくれている、けど彼と自分(雨宮監督)の好みが違いすぎてちょっと苦労してそうではある」とか。

この辺で小黒さんから、「今日の話ってTwitterとかには書いていいんですか?」の話
「書いちゃいけない話してます!?」
「監督が女好きとか……」
「いいよその辺は全然!!」

この言質をもらってしまったので今管理人はこれを書いていると言っても過言ではない(過言だよ)

コラボイラストの話。小黒さんから「なんかGRIDMANはずっとコラボやってて終わってない気がしてくる」という話が出ての、監督からは「オファーがあったら基本的には断らないことを目標にしている。ダンジョン飯もあってTRIGGER自体は今ちょっと忙しいけど、心理的にはまだまだお受けしたい」ということだそうです。
これはマジで管理人の私欲になりますが、くらがり堂コラボこと百鬼夜行イラストが菅野さんの画風も合わせてマジで最高だったのでああいうの今後もぜひよろしくお願いしますオファー出す方の皆様方。

グリユニの制作についての話。今度は文芸面の話から。
ユニバースはシナリオのスタートから約2年、絵としての制作は実質その半分ぐらい。脚本にもクレジットされている点を指摘されて、監督からは「やってはみたけど文字の仕事はあんまり」という反応。小黒さんからの質問は(名前こそ出ていないものの)絶滅ホストに関して少し含ませたものになっていた気がします。監督曰く、「文字は詰まると2週間とか平気で詰まってしまう。絵は描いていれば終わるけど(!?)文字は詰まると終わらない」という話だそう。

ついで脚本クレジットについて。「シナリオが連名になっているのは、メインで書いている長谷川さんは戦闘中の細部の話までシナリオ時点では詰められていないから。一旦話を全部上げてもらって、戦闘中の部分は『(バトル)』などという書き方で開けてもらっている。そこを詰めた」という話……だったのですが、多分TVの時も近い制作形式のはずなので、今回どうしてクレジットまでされているのかまでは今回聞けなかったように思います(噂によるとTRIGGER NIGHT 14ではこの件が出てたとか?)

シナリオの件から雨宮監督が「文字って書かないと上手くならないんだなと痛感した」と言われたところ、そちらが本業の小黒さんから有用そうなアドバイス。
曰く「身の丈に合わないことを書こうとすると遅くなる」「詰まったらその書き方は諦めて、他のもうちょっと書きやすい案に移るか、別の方法を探る」それを常に繰り返して速度を上げるのが1番……という要旨だったかと。雨宮監督からは、「自分も描けないものは描かないようにしてるんですけどそれに近いんですね」という所感が。

この辺りでトークショー時間がいっぱいとなり、最後にグリッドマン、SSSS.シリーズをこれまでやってきての印象を。雨宮監督からは大きく3点あり、

・全く別の会社(円谷、グラフィニカさんも?)と組んでやれたのが楽しかった
・CGが楽しかった
・あまり見られていないかもしれないが、実はインフェルノコップの時とやってること自体はあんまり変わってない。バリーンって割れるところとか。ぜひ見て欲しい。

インフェルノコップに関しては小黒さんから「まだ円盤になってませんからね」との声が上がると「円盤になってまで欲しいか!?って言われると困るけども!」という返しもされていました。

管理人、ついさっきちょっとだけ見返したんですが、マージで絵面が違うだけでインフェルノコップ終盤とユニバースのバトルってやってることがかなり近くて超ビビります。
そもそも論「グリッターインフェルノコップ」がなんかもう全部ダメだよ!!なんでこれでこの後円谷と公式に組んで仕事されてるんだこの人!!(スゲー助かってます!!)

閑話休題。雨宮監督曰く、「グリッドマンユニバースという映画に関しては総合して『プロの仕事をした』という自負がある」「ただし制作にお金を使いすぎた面もあるので、グッズはぜひ買って欲しい」だそう。
その2時間半後きっちり水道橋で1個買っておきました。多分あっちの記事の方で改めて書きます。

雨宮監督からは最後に、「SSSS.以外にもTRIGGER社内で企画は出してはいるけど、いくつかポシャってもいる。色々やりたいので見かけたら応援して欲しい、あとTRIGGERとしてはダンジョン飯もあるので応援してください」とのこと。ダンジョン飯に関しては「まだ言えない」みたいなこともあったので、普通に担当回がどこかにあるかもしれませんね。

そんでもってラストに爆弾が。
小黒さんが、「今日新文芸坐さんなのでめちゃくちゃ音響がいいです。その件をSNS等色んなところで言うとGRIDMAN/DYNAZENONの総集編も合わせて3作オールナイト上映ができるかもしれないのでよろしくお願いします」という、今言われるとユニバースに集中できないんですが!?と言いそうになる締めでお二方は退場。
少しの間を空けて上映が開始されました。

上映〜退場

最初に。

音めっちゃ良かったんで、絶対絶対絶対、劇場総集編GRIDMAN/DYNAZENON→グリッドマンユニバースのオールナイト上映実現してくださいお願いします新文芸坐さま!!
支配人の方に現地でも直で言ってきたけど、ネットにも書けと言われたらそりゃあね……。

管理人、映画館では21バース目ですが、やっぱり「だったらそれでいいじゃん」の裕太に1番泣かされちゃうんだよな……と改めて感じた上映でした。響裕太がどんな少年なのかを知れる映画としてこの上ないものであって、それはファンサかもしれないけど「本編では見られなかった部分」なのは間違いないわけで……。
あと名画座って(当然かもしれませんが)予告編はおろか上映前の注意事項映像みたいなのもないんですね。ちょっと驚きました。

あ、あと今回の上映、

この動画で扱われている「修正前」のマスター使ってたらしく、ミスだとされていた場所は一応見えた……んですけど。

あんなの普通の観客には「そういう瓦礫」にしか見えないよ!!!!!!!

アクセプターの件を指摘された方がポスターもらえて本当によかったな……と思いました。

シアターを出ると、上映前から展示されていたパネルはもちろんとして

雨宮監督によるUniverse Fighterイラスト色紙がLWAの皆さんの色紙と一緒に飾られており大変な人だかりになっていました。

そんなわけで管理人は突発・ツブラヤコンベンション2023第2会場 池袋新文芸坐を抜け、来た鉄道ルートをまっすぐ戻って水道橋へと帰って行ったのでした……

(以下、冒頭にも貼ったツブラヤコンベンション本レポートへと続きます)

  1. 2023年 12月 31日
    トラックバック先 :2023年年末記事。 | 溜息集積場
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